季刊[はちのへ中心蔵ウェル]

食育エッセイ47「食から元気なからだと豊かな心を」

食育エッセイ 毎日の食事はただ食べるだけではなく私たちの身体をどうつくるのかを考えながら

 最近、ちょっとしたことから雑草の本に出会い、これまで全く興味もなかった雑草の世界に心動かされているジュンコ先生。読めば読むほど、知れば知るほど「へぇ~ そうなんだ。」とあまりにも知らなすぎた雑草たちの生き様に驚かされています。
 人には踏まれ、草取りをやってもやっても次々と生えてくる雑草たちは、強いから生き延びているのではなく、弱いからこそ、どうやったら生き延びることができるのか、タンポポの根っこがどこまでも下へ下へ長く長くなることも、「生きる」ためにタンポポが選んだ生き方なんだと。
 生き延びるために考えながら生きている雑草たちに拍手を送りつつ、人間も毎日の食事を、ただ食べているだけではだめなんだよね~ 私たち人間と同じだな~ と妙に共感しているジュンコ先生。

 病院の先生にコレステロールが高すぎるって言われたの。」と落ち込んで帰ってきた高齢の母。その言葉に、食事担当者としては栄養バランスが悪いわけはない!とちょっと憤慨しつつも、揚げ物が好きな母のためにせっせと揚げ物をしていたそれが原因かもと、シンプルな調理法に変えて高齢両親の食事作りに励んだところ、「病院の先生に褒められちゃったのよ。コレステロールが下がったって。」と病院から帰ってきた母。
 頑張ったのは料理担当者の私と胸を張りつつも、栄養摂取って正直なのね~ やればちゃーんと結果がでるんだ~ と安堵したのもつかの間、「病院の先生に今度はカリウムが足りないって言われたの。カリウムを取らなきゃ。」とカリウム含有量が示された食物の表を持ち帰ってきた母の言葉に、野菜が足りないはずはない!とまたまた心の火山が噴出しつつも、翌日からカリウムって何?とあらためてその表を見ながらカリウムカリウムと唱えながら料理をしたところ、「病院の先生に褒められちゃったのよ。カリウムが正常値だって。」と。

 食品ロスという言葉も当たり前の現代社会は、人間が自分たちの口に食べ物を入れて満たされることに気をとられ、口に入った食べ物がどうなるのか、私たちの身体をどうつくるのか、考えなくても生きていくことができそうなのですが、それだけでは雑草たちのような生き方はできないのよね~。私たち人間もそう強くはないからこそ、色々考えて生きていかなければならないことを、雑草たちから学んでいるジュンコ先生。

 八戸に生きる私たちが、心豊かにしなやかに生きるためにはやっぱりウエルが必要! ウエルを開いて誰と一緒に食べようか、どこで食べようか、何を食べようかと楽しみながら出かけることが大事なんです。美味しい食材にたっぷりの栄養はもちろん、そこには私たちに今一番必要な心の栄養もたっぷりあるのですから。

– 書き手- 千葉幼稚園 園長 岡本 潤子