季刊[はちのへ中心蔵ウェル]

野菜歳時記「11. 冬至にカボチャとゆず湯で無病息災祈願」

野菜歳時記「11. 冬至にカボチャとゆず湯で無病息災祈願」

年末は師走と言うだけあって、お歳暮、クリスマス・忘年会・大晦日と年間で最もイベントや行事が多い月ですね。冬至にはゆず湯とカボチャで健康を祈願しますがなぜ、カボチャを食べるか知っていますか?

冬至は日照時間が一番短いので、体が一番弱る日だと考えられていました。そこで、カボチャを食べて栄養をつけ、ゆず湯に入り身体を温めて免疫力をアップさせることで寒い冬を乗り越えようとしたと言われています。

今はハウス栽培によって一年中様々な野菜が食べられますが、昔は冷蔵流通技術があまり発達していなかったので、長期保存ができ栄養価も高いカボチャが食べられたと言われています。東北地方等では、かぼちゃは小豆を一緒に煮て「いとこ煮」にして食べる地域も多いですが、その由来は種類が違っても野菜は野菜であるという関係から「いとこ」に見立ててその名前がついたともいわれています。また固いものから順に追い追い煮るから「おい・甥」煮るということで「いとこ煮」となったという説など諸説あります。

ボチャの橙色の成分、βカロチンは体内でビタミンAに変換され、ウイルスを寄せ付けないように皮膚や粘膜を強化し免疫力も高めてくれます。また小豆には、ビタミンB1が多く含まれ、ブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素であり、またサポニンが含まれ冷えの原因となる水分を排出する働きもあります。

冬至における先人の食の知恵は、栄養学的にも裏打ちされた合理的なものだったのですね。今年の冬至は昔ながらのカボチャとゆず湯で年末年始の無病息災を祈願するのはいかがでしょうか。

文:有限会社やまはる 中野 正信 (野菜ソムリエ)