季刊[はちのへ中心蔵ウェル]

野菜歳時記「10. 酸味で夏を乗り切ろう」

野菜で辿る旬と暮らし 野菜歳時記 10.『酸味で夏を乗り切ろう』

長期にわたるコロナ禍のなかで、気温も湿度も高くなる夏がやってきました。強まる紫外線やマスクの着用、新しい生活様式の中でストレスを感じる日々が続いているのではないでしょうか?

ストレスにさらされると体内では活性酸素が増加し、身体は酸化してしまいます。酸化とは要するに「老化」のことです。酸化によって過酸化脂質が増えると、お肌、眼、血管や内臓など細胞の老化を引き起こします。これを抑えるのが抗酸化作用で、アンチエイジングにとって欠かせない作用といえます。

抗酸化作用の強い栄養素はクエン酸です。レモンやオレンジなどの柑橘系の果物やパイナップルやキウイ、りんご、梅干しなどに酸味として含まれています。これは老化防止、動脈硬化、脳梗塞などの生活習慣病の予防やデトックスに効果的です。

クエン酸は体内ではアルカリ性として作用し、血流を改善して疲労回復や、肩こり、腰痛の改善に役立ちます。またキレート効果と言われる、ミネラルの吸収を促進してくれる効果がありますので、暑い日に汗をかいて水分とともに失われたミネラルを補給する効果も期待できます。クエン酸を多く含む食品を摂取することで、細胞内のミトコンドリアの「クエン酸回路」の働きが高まりブドウ糖を効率よくエネルギーに変えることができます。乳酸などの疲労物質がたまるのを抑え、疲労回復効果が見込め夏バテの予防にもなります。

これからますます気温が高くなると体力も食欲も落ちがちです。柑橘類や梅干しをたっぷり効かせたドレッシングを使ったサラダや料理、またアルコールや飲み物にも積極的にクエン酸を取り入れて、夏バテ予防をしてコロナに負けない健康的な夏をすごしましょう!

文:有限会社やまはる 中野 正信 (野菜ソムリエ)