季刊[はちのへ中心蔵ウェル]

野菜歳時記「6. トマトを美味しく楽しもう!」

野菜で辿る旬と暮らし 野菜歳時記「6. トマトを美味しく楽しもう!」

トマトは初夏に美味しい野菜で、原産地は南米のアンデス高原と言われています。一番多く出回っている品種は、生食用で人気のある桃太郎系の大玉トマトです。

またお弁当にぴったりのミニトマトや、両方の品種の中間くらいのミディトマトもあります。水を極力与えずに高糖度化したものは、フルーツトマトと呼ばれ、栽培方法によって差別化されてできたブランドです。

美味しいトマトを見分けるコツは、つやと張りがあり、手に持ったときに重量感があるもの。ヘタがピンとして濃い緑色で、果実のお尻部分から放射状に出た線(スターマーク)が有るものをおすすめします。本数が多くはっきりしているほど美味しいと言われています。

『トマトが赤くなると医者が青くなる』という欧州の諺があります。トマトの赤色はリコピンという成分で、有害な活性酸素を抑える抗酸化物質が豊富に含まれ、がんや動脈硬化を予防する効果も高いと言われています。リコピンの吸収率を上げるには油と一緒に食べたり、加熱したりすると吸収率がアップ! トマトソースやスープ、オリーブオイルと合わせてイタリアンもおすすめです。また血圧を下げるカリウムやルチン、脂肪の代謝を助けるビタミンB6なども豊富に含まれています。

80年代の昔の品種のトマトは、傷みやすい為に未完熟で出荷され独特の青臭さがあり、今よりもずっと酸味が強いのが特徴でした。祖母が白砂糖をかけて食卓に出してくれたことを覚えています。もし、酸味が強いトマトが手に入った時は、砂糖をかけて食べ、懐かしい味を楽しむのも面白いと思いますよ。

文:野菜ソムリエ 中野 正信 (有限会社 やまはる)