すがっこの嫁っこ
昔々あるところに一人で暮らしている若者がいだったず。ある冬の寒い朝、窓こあげたら、きれいな〝すがっこ〞(つらら)が屋根がら垂れでいだったず。朝日に輝いて、それはそれはきれいだったず。若者はそれを見て「おらもこんな色白な、めごい嫁っこ欲しいもんだ」と思ったず。若者はそれがらというもの、すがっこを見るたびに「ああ、おら、すがっこのような色が白くてめごい嫁っこが欲しい」と口に出して言うようになったず。
そんなある日の晩、「トントン」と戸を叩く音がしたず。「誰だべなぁ」と戸を開けてみたら、なんと色が白くてきれいな娘が立っていだったず。「おばんです。おら、隣村の娘っこですが、一人で暮らしていれば寂しくて寂しくて。どうかあんだの嫁っこにして下さい」と言ったず。若者にしては願ってもないこと。「まんず、家の中さ入れ」って家さ入れだず。そして寂しい者同士一緒に暮らす事になったず。
さぁ、次の日の朝からその嫁っこは早く起きてまんま炊いたり、板拭いたりとせっせと働いたず。若者もその嫁っこが色が白くてせっせと働くので嬉しくてならながったず。二人とも仲良く幸せだったず。さて、ある日のこと、若者は町に用足しに行ったず。その帰り、嫁っこさ土産にかんざしを買って帰ったず。家に着くなり「嫁っこ、嫁っこ、かんざし買ってきたよ」って嫁っこに渡したず。嫁っこは「人から買ってもらったのは初めてだ」ってたまげだ喜んで髪に挿したずもな。若者はその喜んだ嫁っこがめごくて、もっともっと喜ばせたいと思ったず。そこで今度は風呂を沸かすごどにしたず。水こ汲んで、たきぎを集めて火をつけだず。風呂が沸き上がると「嫁っこ嫁っこ、風呂っこに入ろ。ずうっと風呂に入っていねべ」と言ったず。そしたら嫁っこは「おら、風呂っこ嫌いだ。入らね」と言ったず。したども若者は「そんでねえだ。この寒い時、湯っこに入れば体の芯まで温まるんだよ」って、なんとしても嫁っこに「入ろ、入ろ」と言ったず。
そのうち嫁っこが根負けして風呂場さ行って湯っこさ入ったず。しばらくして若者は「嫁っこやあい、湯加減どんだい?」「熱いが?ぬるいが?」と叫んでも嫁っこの返事はながったず。それに背中を流す〝ざあざあ〞という湯の音もしながったず。
若者は心配になって「嫁っこやあい」と風呂場の戸こ開けたず。したども「しーん」として誰もいだふうながったず。足元を見だきゃ、ござの上に嫁っこの着物が畳んで置いてあったず。若者は「ドキッ」として、湯船の中を覗いたきゃ、なんと今溶けたような大きな泡っこが「ぽこんぽこん」と浮かんであったず。
そしてよくよく見だら、泡の真ん中に嫁っこがいつも挿している櫛と若者が買ってあげだ赤いかんざしが「ぽかっ」と浮かんでいだったず。それを見た若者は「あっ」とびっくりして叫んだず。あの嫁っこは、おらがいつも語りかけていたすがっこの嫁っこだったのだと気が付いたのだず。それを知らないで「おらは嫁っこを喜ばせようと、熱い湯に無理やり入れてしまった」。「ああ、溶けるのも知らないで湯こさ入れでしまった」と若者は嫁っこが哀れで哀れでおいおいと泣いで謝ったず。したどももう二度とすがっこの嫁っこは元の姿には戻らながったず。
どっとはれ















