八百平のあねさま
昔むかし、ある所にじさまとばさまが住んでいだったず。じさまは毎日一つやく(一反歩)しかない畑さ「そば刈りに行ぐ」って出かげるのだず。ばさまは「あったら狭え畑っこ、毎日刈るぶんのそばもないのに...」と思っていたが、毎日そば餅をこしらえで持だせてやったず。
ある日、じさまは畑がら帰ってくるなり「あぁ、疲れだ疲れだ。そば島(刈ったそばを束ねてまとめたもの)八百刈ったきゃ腹減ってわがね。明日からそば餅多ぐ持だせでけろ」と言ったず。ばさまにすれば、あの小さな畑で、そば島八百も作れる訳ないと思っていたので、どうもおかしいなと思い、次の日、畑に行ぐじさまの後をつけで行ったず。そしたらじさまは何と、若者のように口笛吹いてじゃんじゃんと歩いて行ったず。
ところが、そば畑に着いたらなんと、そごには若くてきれいなあねさまが、そば刈っていだったず。そのあねさまは赤い手ぬぐいかぶって、絣の着物っこ着て、茜だすき(赤いたすき)をかげ、しゃぐしでそばを刈っていだったず。「やあやあ待だせだな」って、じさまは鎌を持って畑さ入って行ったず。そして二人で「きゃっきゃっ」とそばを刈り始めたず。ばさまはそれを隠れて見ていだず。ところが不思議なごどに、そばは「ガリッ」と刈れば「ザクッ」とまだ生えてくるのだず。
二人はあっという間に、一つやくの畑さそば島八百こしらえ、「あぁ、腹減った」と二人で仲よく畑に座ってそば餅を食べ始めだず。
それを見でいだばさまは、惜しくてくやしくて「こらあ、くされじっこ、何やってらあ、その女どごの誰だ?」って鎌振り上げで畑さ入って行ったず。
そしたら、何とその瞬間、きれいなあねさまも八百のそば島も、さっと消えでなぐなってしまったず。
後に一つやくの畑さ、じさまがボーッと立っていだったず。
なんでも、あのきれいなあねさまはこの辺にいる女狐だったず。だまされだじさまは、ばさまに怒られ怒られしょんぼりと家さ帰ったず。
このごとがあってから、この辺は八百平と呼ばれるようになったず
どっとはれ














