季刊[はちのへ中心蔵ウェル]

チーズとワインのマリアージュ [ well vol.92]

チーズとワインのマリアージュ

高森
Hola! 皆様いかがお過ごしでしょうか?
今号はスペインから美味しいチーズとワインのお話をお届けいたします。
ヨーロッパ南西部に位置するスペインは北のピレネー山脈を挟んでフランスと、また半島西側はポルトガルと国境を接しています。
リオハやプリオラートでは高級赤ワイン。大西洋に面したガリシアでは海のワインとも称される白ワインが。地中海地方のカタルーニャでは瓶内二次発酵のスパークリングワインのカバ。さらに南部のアンダルシアでは白ブドウを用いた酒精強化ワインのシェリーが造られる、2019年の輸出量が世界第一位のワイン産地です。
どんなチーズがあるのでしょう。早狩さん! よろしくお願い致します。

早狩
眩しい太陽の光と暑さのせいでしょうか、夏になるとスペインチーズが恋しくなります。今回のチーズは情熱の国スペインから。
まず、最も有名なスペインチーズ、〝ケソ・マンチェゴ〟。ケソはスペイン語でチーズの意味。セルバンテスの「ドン・キホーテ」にも登場する中部ラ・マンチャ地方特産の羊乳製チーズです。クセも少なく、羊乳特有のほのかな甘さと心地よい塩味、ナッツや干し草のような風味が人気です。
長期熟成品はコク深く旨味たっぷり。本場ではマルメロを煮詰めて固めたメンブリージョという甘いゼリーを添えて食べますが、苺ジャムで代用しても。またはスライスしたマンチェゴに七味や、柚子胡椒など辛味を足すのもおいしいですよ。

高森
問)Castilla La ManchaのD.O.P羊乳チーズを答えなさい。
答)Queso Manchego
とソムリエ試験にも出るスペインで最も有名なチーズですね。
白ワイン、赤ワインともにラ・マンチャやヴァルデペーニャスのワインが良く合います。
面白いところでは酒精強化ワインのシェリーです。産膜酵母と言われるフロールの膜のもとで酸化しないで熟成させるシャープな辛口の酒精強化ワイン。淡い麦わら色でフロール由来のナッツや青りんごのような特徴的な香りは羊乳の特有な風味といい相性ですよ。

早狩
次にご紹介するのは、〝アルスア・ウジョア〟というとてもマイルドなチーズです。こちらは北西部、ポルトガルに接する大西洋岸ガリシア地方産。
白くてむっちり、まるでお餅のよう。クリーミーで、かすかに酸味があり、ミルクの味そのもの。溶けやすいので加熱する料理にも向きますが、そのままサンドイッチやサラダ、蜂蜜をかけるのもアリ。
このほかカエデの葉でくるんだブルーチーズ〝ケソ・デ・バルデオン〟やコーヒー牛乳の味がする(?)燻製チーズ〝サン・シモン・ダ・コスタ〟など個性的でおいしいスペインチーズ、ぜひお試しください。
VIVA ESPANGA!

早狩
もっちもちの〝アルスア・ウジョア〟には大西洋岸リアス・バイシャスの白ワインを。海の恵みが感じられるミネラル豊かできりっとした味わいです。
栽培ブドウの96%はアルバリーニョという品種です。昔ながらの栽培法を協同組合の皆さん中心に最新醸造機器や醸造法を導入したところ一躍スペインの高級白ワインの代表となりました。ポルトガルでも美味しいアルバリーニョが造られていますね。

高森
チーズとワインに限らず、日本酒や焼酎、蒸留酒等色々なペアリングの検証が聞きたいとのお声が上がってきました。様々なプロフェッショナルの皆様からご助言頂きながら、美味しく試食&試飲していきたいと思います!

文/『八戸パークホテル』ソムリエ 高森 亘 / 『CHEESE DAY』店主 早狩昌行幸