季刊[はちのへ中心蔵ウェル]

チーズとワインのマリアージュ [ well vol.85 ]

チーズとワインのマリアージュ

早狩 今回はウォッシュタイプのチーズでいってみましょう。その名の通りに、熟成工程において塩水や酒で表面を洗ったり拭いたりして熟成させたチーズです。
 ウォッシュすることにより独特な菌を付け、品質保持と風味醸成を行います。オレンジ色の外観、発酵を感じる強い香りが特徴です。個性的な見た目と香りに反してマイルドでクリーミーな味わいのギャップが人気です。

 この季節を代表するウォッシュチーズと言えば、何と言ってもモンドールでしょう。フランスとスイスの国境近くジュラ山脈の村で秋から冬の期間だけ作られる冬季限定のチーズ。エピセアという木の樹皮枠で巻いて熟成されるため、森の木の香りと濃醇なミルクの味わいが絶妙です。

 まずはスプーンでとろーりと、ひとすくい。バゲットにのせて召し上がれ。残ったらまるごとオーブンで焼いてフォンデュで。一冬に一度は食べたいごちそうチーズです。
 ワインの銘醸地フランス・ブルゴーニュのウォッシュチーズと言えばエポワス。ぶどうの絞りかすを蒸留した地酒マール・ド・ブルゴーニュで洗い、熟成させます。16 世紀に修道院で作られたのが始まり。ナポレオンにも愛され、美食家ブリア・サヴァランには「チーズの王様」と讃えられました。個性的でインパクトのある芳醇なその香り、というか匂いは、王様の風格。フランスでは「神様の御御足」の匂いとも例えられる芳香を珍重するファン多し。ねっとりクリーミーで濃厚な優しい味と相まって、マニアに愛好されるウォッシュチーズの代表選手です。
 他にも、アルザスのマンステール、シャンパーニュのラングル、イタリアのタレッジオなど各地でワインによく合う人気のウォッシュチーズが作られています。

 高森さん、通好みの強い香りと味を持つウォッシュチーズに合わせるとしたら、どんなワインになりますか?

高森 ウォーッシュですか!
特有な香りと個性的な味わいにハマる人が多いんですよね。生産地によって違いはありますが全体的には風味は強く、合わせるワインにも強い個性が求められますね。チーズ、ワイン産地の組み合わせが多様な上級ペアリングです。

 果実味を前面に出した、力強く凝縮感のあるタイプが、ウォッシュチーズとよく合います。エポワスの産地はフランス・ブルゴーニュです。
 ブルゴーニュの品種は『ピノ・ノワール』が挙げられますが、力強く濃縮感のある!熟成したピノ・ノワール!は美味しい~!ですが・・・ 結構・・・ お高いのです。そこで私は、ぶどうの成熟度がとっても良く価格もお求めやすい南米をご紹介致します!

 4回の連載で6つのチーズをご紹介してまいりました。それぞれの特徴を思い出しながらお気に入りのワインとのペアリングお楽しみ下さいね! また来年、お会いしましょう。